気持ちの手前で降ろしてよ
楽茶碗が脆いってことは知ってたけど
僕の心が脆いってのは今初めて知ったんだ
落としたわけでもないのに欠けてしまった
君への想いはちっとも欠けはしないのに
届かないのはわかってる
届けたいのもわかってよ
お茶を飲むだけ飲んでおいて
僕の意見はちっとも呑まないんだね
なら、それなら
もうお別れってことなのかな
この点前が終わる頃には
君はいなくなってるのかな
まだ仕舞に入ったばかりだからさ
せめて拝見まで見ていってよ
それで最後に笑って、これだけ言って欲しい
「結構なお点前でした」
解説
イメージとしては、振られた時の気持ちの揺らぎと、ほんの少しでも一緒にいたいという気持ちを、点前の間だけはそばにいて欲しいという言葉でまとめました。
実際に、振られたときにこんな風に思える人は、かなりの胆力の持ち主だと思います。ちなみに私はちっとも思えませんでした。
淡々と伝えたい、あの時の言葉
道具は袱紗で清めればいいけれど
僕の気持ちは何で清めたらいいんだろう
大切に扱われる道具を見ていると
大切にしたかった思い出が溢れかえる
でもね 空の棗みたいに心は空っぽで
ほらね 淡々斎の作のように尖ったまま
ならね 淡々と伝えよう あの時の言葉
正客でも次客でも末客でもなく 君に届けたい
腰を前に出し背筋を真っ直ぐ座ってみようか
君への想いはちっとも真っ直ぐに届かないけど
涙を溜めて1杓分 釜に水を差したら
もう一度あなたへの想いを湯返ししてもいいでしょうか?
時には立ち止まって悩んでみてもいいんでしょう?
人生という道は、お点前じゃないんだから
解説
歴代の家元の名前から何かインスピレーションを得ようとしたのがきっかけで生まれた。結局、1番使いやすい淡々祭だけが残って、他はあまり実用的ではなかった。
そもそも人の名前を実用的という時点で如何なものかと思うが。
言葉すら着飾って
2人で組み立てた日を あなたは覚えていますか
いつからか1人で組み立てて 支えが無くなった
倒れそうな横板を支えてくれたよね
丸いつぼつぼから見えたのは あなたの手でした
出会った頃はまだ葭戸だったのに
今ではもう障子に変わった吉野棚
柄杓を上手くかけれなかった僕は
声すら君に上手くかけれなかったな
この想いは円意棚
未完成なのさ3本足
そんな言葉は便利だな
完成してるのさ諦めは
この想いは更好棚
更に好きになっていくよ
大事なのは行動だな
すぐ走って追いかけるよ
棗を置くのと一緒に
気持ちも置いていけないかい
柄杓を飾るのと一緒に
心も飾れられないかい
飾ったままで去っていく
そんな時も偶にはいいのかな
こんな自分を棚に上げながら
解説
茶道で用いる棚にインスピレーションを受けて制作。便利だな、であったり、行動だなといったところは棚という部分にかけているように思えるが、〜だなであれば何でも通じるので、もう少し捻りが欲しいところか。
ただこれを作ったときは、これしかないという感じを持ちました。
濃茶to恋茶
四方捌きを見ていて思っていたのだけれども
落として張っての繰り返し まるで恋だね
ドキドキがバレないように落ち着いて捌かなきゃ
茶入回しを見ていて思っていたのだけれども
落ちないように回している まるで恋だね
はたして僕が回しているのか
それとも回されているのかは誰にもわからないのさ
中蓋を見ていて思っていたのだけれども
冷めないように蓋をする まるで恋だね
釜と一緒に気持ちにも蓋をして
この想いを水に流そうか
練って練ってお茶を練って
ダマを残さないように
練って練って策を練って
後悔が残らないように
お茶はいくらでも追杓できるけど
この気持ちはちょっと追杓したくらいじゃ薄まらないのさ
この気持ちは薄茶じゃなくて 恋茶
いつか君に味わって欲しい 恋茶
解説
これは今まで自分が作ってきた中でも、断トツで気に入っています。そして断トツで気持ち悪がられていました。この一件のおかげで、僕がいいなと思ったことは、だいたい引かれるということがわかりました。
茶道では薄茶と濃茶というものがありますが、その薄いと濃いというものを愛情の薄さ、濃さに表せないかと思い作りました。
そして作っていくうちに、
あ、そっかこれは濃茶じゃなくて恋なんだ
と自分で感じたことを覚えています。
こういう一瞬の閃きというか直感というものは、ずっと覚えているものですね。
心の襖を閉めてくれ
いつからこんな状態なんだろう
君を見るたび心が上下、まるで茶筅通し
恋という名の袱紗はうまく捌けないけど
緩急つけて君のことを想い続ける
身だしなみチェック 鏡柄杓
心のスイッチ 切柄杓
肩にそっと手を 置柄杓
顎をクイッと 引柄杓
ぐるぐるぐるぐる 茶入回し
いつまでたってもミスってる
ぐるぐるぐるぐる 僕の心
いつまでたっても迷ってる
君はさよならを言う 襖を閉めて
僕もさよならを言う 送り礼
もう一度会えるかな 拝見のように
解説
僕が後輩に見せた歌詞の中で2番目に気持ち悪いと賞賛されたものです。1番吐きそうと賞賛されたものは濃茶to恋茶という歌詞です。そちらはまたご紹介しますねご紹介しますね。
ちなみに、ぐるぐる以降がサビのつもりです。茶入回しという扱いと自分自身の心の動きを重ね合わせました。だいぶ初期の方に作ったものなので思い入れが深いものとなっています。曲もつけましたので、今も頭の中でリピートされています。
ぐるぐるぐるぐる。